Q1: 描きおわった作品は家の中のどこに保管すればよいでしょうか。押入れの中はカビが生えやすいですか。
A: 作品の保管場所ですが、高温多湿をさけて温度湿度の変化があまりなく、暗すぎず 明るすぎず、空気の清浄なところが理想です。一般家庭は美術館のようなわけにはいかず、日常の生活空間ですから理想の場所をみつけるのはむずかしいでしょ うが、なるべくベターなところを選んでください。押入れは結露の心配もあり、保管場所にはふさわしくありません。

絵を壁にかけて保存する場合は、かならず絵の裏面に空気がじゅうぶん流通するように、また裏にホコリがたまらないように、壁面と平行になるようにかけてく ださい。額の裏の四隅にコルク栓のようなものをはりつければ、そのような状態が保てます。



Q2: 作品を移動させたいのですが、どうやって運搬すればよいでしょうか。
A: 展示場への搬入などで、作品を運搬しなければいけないことがあります。作品が大 きくなるほど気をつかうものです。梱包をしっかりしなければいけません。運搬中にかかる不用意な衝撃から作品を守るためで、梱包を簡素にすることもできま すが、運搬取り扱いに神経を配る必要が高まります。運搬時の天候しだいでは防水のことも考えなければなりません。運搬する車も調達しなければなりません し、いずれにせよ一人でできることではありません。

宅配便の美術品運搬サービスがありますから、そちらを利用するのがよいでしょう。レンタカーを借りる経費などを考えれば、それほど高価でもありません。搬入を代行してくれる画材屋さんもあります。



Q3: オイルスケッチパッドに描かれた油絵の保存性はいいのですか。
A: オイルスケッチパッドは紙にキャンバス目のようなエンボス加工をし、表面を樹脂 塗料処理して油彩が描けるようにした軽便な基底材です。薄くて柔らかい材質ですから、曲げや折りなどの外的応力に敏感です。パネルに固定するなどの補強な しでは保存には不利でしょう。あくまでも手軽で軽量な基底材として、習作やスケッチ程度にとどめるのがよいと思います。

紙にキャンバス目をつけただけの、油の吸収防止処理をしていないものも売られていますが、これは水彩やアクリル、インクジェットにキャンバス模様を浮きあげさせるだけのものです。油彩には使えませんので注意してください。



Q4: 綿布に直接テレピンで溶いた油絵具で、しみこませるように描きました。保存性はどうでしょうか。
A: 布にとっても絵具にとっても保存性はよくありません。まず、目止めのしていない綿布にじかにしみこんだ油が布を傷めてしまいます。油焼けといわれる現象です。

油彩用のキャンバスは油がじかに布に接触しないように、必ず目止めの塗りがほどこされます。この処理をしないと、いずれ布はボロボロになります。さらに絵 具に含まれるバインダーが布に吸い取られることで、絵具の接着力がなくなってしまい、絵具は剥落していきます。

このような描きかたをするならば、油彩ではなく、アクリルを選ぶべきでしょう。



Q5: 絵を長持ちさせたいのですが、やはりガラスの額が必要ですか。
A: 実はガラスいりの額は、保存に最適とはいえないのです。絵の保存のためには、画面の表と裏を同じ気候条件にするのがよいのですが、ガラスをはめるとそれができなくなってしまいます。

それにガラスは表面で光を反射して、角度によっては絵を見にくくしてしまいます。ガラスが有効なのは、タバコのヤニとかハエの糞といった汚れに対してで す。ヘビースモーカーのいる居間に絵をかざる場合などはやむなしとして、きれいな室内であればガラスはいりません。



Q6: キャンバスを木枠からはずして保存したいのですが、可能ですか。
A: 保存場所がまったくないなどの、よほどの必要性がない限りキャンバスは木枠からはずすべきではありません。キャンバスと木枠は基底材として一対をなすもので、キャンバス単独では折れたり曲がったりの変形が絵具層にダメージを与えるため、不完全支持体といえます。

修復や木枠の移し替え以外ははずすものではありません。どうしてもはずしたキャンバスを丸めて保存する場合は、画面を外側にして丸めてください。丸める際 に絵具層に亀裂がはいっても、ひろげた時に亀裂がふさがれて目立ちにくくなります。画面を内側にすると亀裂がそのまま残ります。



Q7: 油彩画面にヒビや剥離ができてしまいました。なぜでしょうか。また、どうすれば直りますか。
A: ヒビや剥離の原因は主に描くときの技術的欠陥や材料に起因するものです。それに保存の条件が影響を与えます。要因は複数あり、ひとつに絞りこめません。

材料に起因するものとしては、ジンクホワイトの使用や基底材に問題がある場合、技術的欠陥としては揮発性油の多用やシッカチーフの不適切な使用、塗り重ね かたに問題がある場合などいろいろあります。この場ですべてを紹介することはできませんが、これまでのQ&Aでのべてきた中にいくつかの要因が示されてい ますので、それをヒントにトラブルを回避するようにしてください。

すでにできた亀裂や剥離の修復は専門の修復家にまかせましょう。素人が簡単になおせるというものではありません。



Q8: 手軽な修復のための道具や画用液のようなものはありますか。
A: 修復は専門の知識、経験、技術を必要とするため、修復に必要なものが市販されて いたとしても、誰もがそれを使いこなせるというわけではありません。ヨーロッパでは修復用の絵具が売られていますが、どこの画材店でも手に入るというもの ではないようです。また修復に使われる材料はすべて特殊なものというわけでもなく、試薬として手に入るものであったりしますが、それらは画材店では売られ ていません。

一方で、修復の知識や用材が手に入らないために、素人が自己流の修復をして作品をかえってだめにすることもあります。



Q9: 絵にカビが生えて汚れてしまいました。きれいにする方法はありますか。
A: 表面の汚れと殺菌には消毒用エタノールでふき取ります。消毒用エタノールはふつうの薬局で売っています。絶対にお風呂のカビ取り剤などは使わないでください。

カビが絵具層の内部深くまで侵している場合は、残念ながら元にもどすことはできません。こちらにカビの予防になる保管方法が書いてありますから、そちらを参考にしてください。



Q10: 修復のとき、古いニスを洗って新しいニスをかけるとききますが、そのとき絵具が溶けたりしないのですか。
A: 修復で古いニスの層を洗浄除去するときにはいろいろな溶剤がニスの種類に応じて使われるようです。弱い溶剤ならばともかく、強い溶剤を使う時などは絵具層も溶かすおそれはあります。そんな時は絵具の層に達する寸前で洗浄を止めるようです。



Q11: 木製の家具の修復に使用できる絵具はありますか。
A: 家具や内装のリペア専門の業者がいて、その人たちが使うための専用絵具も売られています。インターネットで「家具 補修」で検索すると、メーカーのページがみつかります。メーカーに問い合わせれば絵具を売っているところを教えてくれるでしょう。

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